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Play Station Vita 復活への道

ソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)が発売しているPlay Station Vitaは世界的な販売不振です。

日本国内について言えば、Vitaは発売から4ヶ月経過した現在でも、
ハード販売台数(メディアクリエイト集計)は、わずか65万台でしかありません。
前世代機PSPは、発売4ヶ月で110万台を販売していましたし、
任天堂発売のニンテンドーDSは180万台、ニンテンドー3DS(以下3DS)は112万台と、
どれもVitaをはるかに上回る売上げです。
3DSは、年末発売でないこと、発売直後に東日本大震災が発生したことなど、
かなり悪条件であったにも関わらず、Vitaはそれにも遠く及んでいないのです。

そこで、Vitaを世界的に普及させる方法を考えてみました。
ソニーが社債を発行すれば、1000億円程度の資金が用意できるはずですので、
それを元手に改革をするという前提で、考察してみます。
(Vitaだけに1000億円も投資するのは、現実的ではありませんが…)
あくまでVitaの普及を最優先とし、ソニーの未来については考慮しないこととします。

 

Vitaの問題点

Vitaの販売不振の理由はいくつもありますが、主だった問題点は、
・本体不具合多発
・3Gモデルの存在意義がない
・Play Station Portable との互換性がない
・本体価格が高い
・有力ソフトがない
の5点が挙げられます。
これらを改善させることが、Vitaの普及に繋がるはずです。

Vitaは初期から不具合が多発しており、また修理体制も不十分で、購入者から不満の声が多く上がっています。
これらの改善はメーカーが当然すべきことですので、ここでは割愛します。

Vitaの3Gモデルに存在意義がないことは、発売前から散々言われていました。
現に、3G回線を魅力的に活用できているソフト、今後活用できそうなソフトは一切ありません。
よって、未来のない3Gモデルは捨てて、wi-fiモデルのみで勝負すべきです。

Vitaには前世代機であるPSPとの互換がないため、PSPソフト(UMD)は遊べません。
ただし、これから互換機能をつけたところで販促効果は薄いので、これも考慮しないでおきます。
それよりも、Vitaならではの魅力的なソフトを提供することに注力するべきです。

 

値下げは必須

本体価格が高いことはかなり大きな問題です。
ライバル機ニンテンドー3DSが15000円という低価格で販売している中、
Vitaの24980円という価格は非常に割高に思えます。
過去の携帯ゲームハードを見ても、これだけ高価格な商品はほとんどありません。

というわけで、値下げは必須です。
ただし、5000円程度では効果は薄いと思われます。
3DSは大胆にも10000円の値下げを行いましたから、
Vitaの新価格は14980円(メモリーカード付属)とするべきです。
有機ELや背面タッチパネルといった無駄な設計を省いて、コスト改善をはかりましょう。

ただし、ソフトがない状態での値下げは意味がないので、
後述のサードパーティーからのソフト供給と合わせたタイミングで行う必要があるでしょう。
(Vita本体を無料で500万台ほど配るということも考えましたが、
とんでもない逆ざやになるのでボツにしました)

 

ソフト充実のために

Vita最大の問題点は、致命的にソフトが不足していることです。
Play Station 3 も当初はソフト不足で売上げが伸び悩みましたが、
ファイナルファンタジー13・バイオハザード5・メタルギアソリッド4など、
サードパーティーの大作ソフトが多数発売を予定していたため、将来への期待は感じさせられました。
しかし、Vitaにはそういった大作ソフトの発売は一切予定されていません。
今もソフトはないし、今後もソフトがないという絶望的な状況なのです。

ゲームハードを販売する上で、最も大事なのはソフトです。
しかし、ソニーのソフトには市場の牽引力が皆無のため、サードパーティーに頼らざるを得ません。
本来ならば、自社ソフト開発力を高めることが重要ですが、
今回はVitaを普及させるということが主眼ですので、
ソニーは一切ソフトを開発せず、自社ソフト開発に使う予定だった費用は、
全てサードパーティーの誘致費にあてるのがベストな選択と思われます。

日本では、モンスターハンターを発売できればかなりの牽引効果が期待できますが、
残念ながら、海外ではモンスターハンターの人気は低いため、キラータイトルとはなり得ません。
日本のゲーム市場規模は世界全体の2割程度であり、
残りの8割を獲得しなければ、Vitaの成功はあり得ません。
もちろん、モンスターハンターも誘致してもらえるように働きかけるべきですが、
それとは別に、もっと海外市場に強いタイトルが必要となるでしょう。

サードパーティーのビッグタイトルとして、Call of Duty(アクティビジョン)や、
Grand Theft Auto(ロックスター)といった1000万本クラスのヒット作を誘致したいところです。
ただし、重要なのはVitaの独占タイトルでなければ意味がないということです。
VitaはPS3とマルチタイトルしやすいことがウリの一つですが、
VitaとPS3のマルチでは、ほとんどのユーザーが性能の高いPS3版を選ぶため、
Vitaの普及には繋がらないでしょう。

そもそも、海外では携帯機の人気がないため、普及が難しいという事情があります。
そんな中でも任天堂の携帯機が売れていたのは、
携帯機ならではの魅力を持った任天堂ソフトが独占供給されていたからなのです。
Vita版Call of Duty(仮)やGrand Theft Auto(仮)を発売したとしても、
ただ単に据え置き版の劣化作と思われてしまっては意味がありません。
携帯ゲーム機で発売するならば、携帯ゲーム機ならではの魅力を持ったゲームであることが大事です。
それが実現できるかどうかは、サードパーティーの力量にかかってくるわけですが…。

といった前提条件を考えると、サードパーティー誘致のためには、
ソニーがソフト開発費を全額負担するぐらいの大胆な策が必要ではないでしょうか。
例えば、1タイトルあたり30億円程度負担をすれば、
充分ビッグタイトルを提供してもらえると思われます。
現在のゲーム開発費を考えれば、このぐらいの金額が必要でしょう。
更にロイヤリティも免除すれば、サードパーティーの開発意欲が高まるはずです。

これはソニーが短期的な利益を得ることよりも、まずはVita市場の拡大を最優先させる戦略です。
Vitaが普及することで、ソニーの利益は長期的に増えていくはずです。

これを20〜30社に働きかければ、かなりの数の有力タイトルがそろうはずです。
また、その数十タイトルは、1年〜2年といった短期間に矢継ぎ早に投入することが大事です。
一度流れにのれば、その他のサードパーティーもVitaに注力してくれると期待できるからです。

ただし、注意しなければいけない点もあります。
開発費を全額負担するなら、サードパーティーに水増しされる危険性がありますし、
そもそも、高い開発費をかけてもソフトが売れるとは限らないです。
また、短期間にいくつものソフトを発売するとすれば、開発期間の調整が重要になります。
ソニーは、これらの管理を徹底しなければいけません。
ソニーからサードパーティーへ社員を出向させるなどして、開発状況を把握するなどの工夫が必要でしょう。

そして、それらのサードパーティー製ソフトは、Vitaの永久独占であることをユーザーに周知徹底させる必要があります。
近年のソフトは他ハードへの移植も頻繁に行われるため、
少し待てば他機種でも遊べる(Vitaを買う必要がない)と思われてしまうことは絶対に避けたいからです。

以上の提案を全て実行できれば、Vitaの普及はかなり進むことでしょう。
(まあこれだけやっても3DSより売れるとは思えないところが怖いですが)
これぐらいの荒療治でなければ、Vitaの復活はありえないと思われます。
それほどまでに、Vitaの現状は厳しいのです。

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