現在、ゲーム販売店のほとんどが中古ゲームを取り扱っています。
新品ソフト販売による利益率は低く(ハードは更に低い)、中古ソフトの利益率は高いからです。
新品ソフトの販売だけでは経営が成り立たないというのは、
ゲーム業界が健全ではないという証拠なのかもしれません。
しかし、中古でのゲーム売買は、開発会社に一切利益をもたらしません。
そのため、多くのゲーム会社は中古ゲーム市場を快く思っていません。
そのことで、ゲーム会社と販売店で裁判が行われたこともあります。
大阪訴訟
SCE・セガ・カプコン・コナミ・ナムコ・スクウェアのゲームメーカー6社が、
中古ゲーム販売会社"アクト"・"ライズ"の2社を訴えたもの。
東京訴訟
中古ゲーム販売店"上昇"が、ゲーム会社のエニックスを訴えたもの。
争点になったのは、"ゲームは映画と同じく頒布権があるか?"というものでした。
頒布権とは、映画の著作権者が、販売・貸与・譲渡を独占的にできる権利のことを言います。
作品をどこでどう上映(販売)するかは、著作権者(配給会社)に委ねられているのです。
かつてパックマン事件と呼ばれる裁判があり、そこでゲームは映画の著作物という判例が出たのです。
そのことから、「ゲームにもこの頒布権を認めるべきで、故にゲームの中古販売は違法だ」
というのがゲーム会社側の主張です。
結論は最高裁まで持ち込まれました。
最高裁は、
"ゲームソフトは映画の著作物にあたり、頒布権は存在するが、 一度販売するとその権利は消失する"
という見解を示しました。
これにより、ゲームの中古販売は合法であるという判決が下されました。
まあ、書籍やビデオ・DVDなども中古市場が存在するわけですから、
ゲームだけ特別扱いをするのはおかしな話です。
自分のお金で購入したものは、自分で自由にできるというのはあたりまえですよね。
それ以降、ソフトメーカーは廉価版を発売するなどして、中古販売の影響を少なくしようとしています。
しかし、その廉価版販売も多くのソフトが行っているため、
消費者に「少し待てば安く買えるんだから、発売日にゲームを買うのはやめよう」
と思われてしまっている側面もあります。
その結果、通常版の売上げが減少するという、何とも本末転倒な状況にもなっているのです。
任天堂は廉価版を出すことはほとんどなく、
中古に売られないような魅力的なソフトを作るという目標を持ってソフトが開発されているのです。
中古市場の存在は、ゲーム会社にとって大きな痛手でしょうが、
上記の通り、中古販売がなければゲーム販売店が立ち行かないのです。
書籍には返品制度がありますが、日本のゲーム業界には返品制度がありません。(アメリカには存在します)
そのことも、ゲーム販売店の苦しい状況を作り出す要因になっているのは間違いありません。
ソフトメーカーが儲かることは重要ですが、
それを販売するお店もある程度は儲かっていないと、ゲーム業界発展には繋がらないです。
もちろん、ユーザーは少しでも安く買いたいと思うでしょう。
この3者それぞれが満足できる状況を作り出すというのは、難しいところですね。
現在最も割を食っているのはゲーム販売店でしょうから、
販売店を救済するという意味では、やはり中古販売は必要なのではないでしょうか?
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