2011年2月26日に発売された3DSは、1年で500万台を販売しました。
これは、日本のゲーム史上最速の普及ペースです。
この結果からすると、任天堂は非常に好調のように見えますが、
2011年度は、上場以来初の赤字となってしまいました。
任天堂は、かつてのニンテンドウ64やゲームキューブといった負けハード時代でも、
黒字をキープできていたことを考えると、 2011年度の赤字は相当異例の事態と言えるでしょう。
(関連リンク:プレイステーションは真の覇者だったのか?)
何故赤字になってしまったのでしょうか?
その理由を解説していきましょう。
理由1:3DSが逆ザヤであること
確かに、3DSは爆発的な売れ行きを見せましたが、それは1万円の値下げを行ったからです。
発売当初は25000円という高価格だったため、売上げは伸び悩んでいました。
(発売3週目で大震災が起こったことも影響していますが)
その状況に危機感を覚えた任天堂は、発売からわずか半年足らずで1万円の値下げに踏み切り、
なんとか良い流れを作ることに成功したのです。
しかし、1万円の値下げは、当然1台あたりの利益を1万円減少させることになります。
結果、3DSは逆ザヤとなり、売れば売る程赤字となる厳しい状況に追い込まれたのでした。
そのことが、2011年度の赤字に繋がってしまったのです。
ただ、2012年夏時点で、3DSの逆ザヤは解消しています。
また、身を削る思いで値下げをしたおかげで、普及台数は大幅に増加しましたから、
今後の展望は明るくなったと言えるでしょう。
理由2:3DSが海外市場で上手くいっていないこと
上記の通り、日本での3DSは値下げをしたことで好調な売れ行きとなりましたが、
海外(日本と同じく値下げしました)では、あまり売上げが伸びていません。
不振というわけではありませんが、日本のように市場をリードする存在にはなっていないのです。
日本ゲーム市場は、世界全体の15%程しかありませんので、
日本だけで好調でも、それ程大きな利益には結びつかないのです。
元々、海外は据え置き市場主体ですし、
また、貧富の差が激しいため、新ハードへの移行が遅いという傾向もあります。
そういった点から、海外での普及が思うように進んでいないのです。
理由3:Wii・DS市場の縮小
後継機である3DSが発売されたのですから、DS市場が縮小するのはまあ当然でしょう。
しかし、後継機WiiUが登場する前にも関わらず、Wii市場が縮小してしまったのは問題でした。
Wiiは現行の据え置き機で唯一のSDハードであり、
プレイステーション3やXbox360よりもずっと性能が低いのです。
地デジ対応テレビが普及し、大多数の家庭がHDテレビを所持するようになった今、
SDハードのWiiが見劣りするのは仕方がありません。
また、サードパーティーがWiiに対してほとんどソフトを提供してくれなくなったことも痛手です。
以下は、日本のWiiとプレイステーション3のサードパーティーソフトの発売本数を、
年別に比較したものです。
サードパーティーソフト発売数 | ||
年 | Wii | PS3 |
2006 | 16 | 9 |
2007 | 89 | 42 |
2008 | 106 | 72 |
2009 | 87 | 68 |
2010 | 48 | 99 |
2011 | 25 | 131 |
サードパーティーから敬遠されてしまうようになってきたことが一目瞭然です。
逆に、プレイステーション3はサードパーティーソフトが増加しています。
多くのサードパーティーは、面白いゲームを作るためのアイデアはなく、
グラフィックに注力したゲーム開発しかできないのです。
それ故に、Wiiのようなアイデア重視のハードではなく、
グラフィックで勝負するプレイステーション3を選択するようになってきたのです。
プレイステーション3が度重なる値下げを行い、普及台数が増加してきたことが、
サードパーティーのWii離れを加速させてしまったのです。
理由4:円高による影響
任天堂の2011年度海外売上高比率は77.1%です。
日本のゲームメーカーで、これだけ海外比率が高いメーカーはまずありません。
それ故に、他の日本ゲームメーカーよりも、任天堂の方が円高による損失が大きいわけです。
円高そのものは、任天堂にはどうすることもできませんので、
これは不幸な事態と思ってあきらめるしかないのかもしれませんが…。
(この内容については別記事で詳しく記述予定です)
こういった問題が重なったことで、任天堂は初の赤字に転落してしまったのです。
しかし、それ程悲観することもないかもしれません。
3DSの逆ザヤは既に解消されていますので、これからは利益に貢献できるでしょう。
また、2012年末には、新型据え置き機WiiUも発売されますので、
据え置き機主体の海外市場での普及が期待できます。
ゲーム市場が縮小している理由の大きな一つが、任天堂の衰退にあります。
任天堂が再び勢いを取り戻し、ゲーム市場を盛り上げてくれることを願っています。
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