ゲーム業界で高いソフト売上げを誇っているのは大手会社ばかりですが、
中小にも頑張っているメーカーはたくさんあります。
そういった中小ゲーム会社の戦略について記述してみます。
ポイソフト
まずは中小というか、完全に零細企業のポイソフトについて。
社員はわずか4人!
それ故に、リリースするのは小粒なソフトばかり(パッケージソフトはなく、全てダウンロード)ですが、
なかなか良質な作品を提供し続けており、ゲームファンからは一目置かれているメーカーです。
ポイソフトがちょっとだけ有名になったのは、3DS用ダウンロードソフトひゅ〜ストンの発売からです。
井戸に落ちていく物体(石やスイカや卵など全10種)を操作し、
障害物を避けながら底(ゴール)を目指すという内容。
ボタンは一切使わず、スライドパッドのみのシンプルな操作でありながら、なかなかにやり応えがあり、
また、3DSの立体視機能との相性もバツグンで、購入者からの評判も非常に高いものでした。
その功績が認められ、任天堂の岩田社長から直接インタビューを受けることになったのです。
その模様は"社長が訊く ひゅ〜ストン"として、ニンテンドーダイレクトで放送されました。
社員4人の会社であっても、魅力的な作品を作り続けていれば、きちんと評価されるということですね。
ファルコム
ファルコムはパソコンゲーム市場では老舗の存在。
イースや英雄伝説といった人気シリーズをリリースしていました。
ただ、時代の流れにはついて来れなかったのか、コンシューマー市場ではたいしたヒット作はなく、
上記のイースや英雄伝説シリーズを移植するぐらいしか、目ぼしい活動はしていません。
しかし、一定の売上げが見込める作品以外はリリースしないという徹底ぶり故、
経営状態は非常に安定しています。
年間リリース数も2〜3本と、決して冒険はせず、上期は赤字(ソフトを1本も発売しないから)で、
下期で利益を出す、というのが常套手段になっています。
ソフト発売先も基本的にPSPのみで、ハード性能やユーザー層にマッチした絶妙な選択をしていると言えます。
その腰を据えた運営故に、ゲーム業界では数少ない無借金会社であり、
尚且つ、月商の48か月分の現金を保有しているという、とんでもなく堅実な会社運営をしています。
正直なところ、ファルコムのゲームのクオリティが高いとは言い難いのですが、
それでも、自社の能力や特性を理解し、ベストな会社運営を行っている点は充分に評価できるでしょう。
ちなみにファルコムは、自社のゲーム作品に使われている音楽をユーザーが自由に使用できる、
ファルコム音楽フリー宣言を実施しています。
まあ、ファルコム作品にそんなに有名な曲があるわけでもないですし、
これが大きな宣伝効果になるというわけでもないのでしょうが、
非常にユーザーフレンドリーな試みで素晴らしいと思います。
こういったことができるのも、中小企業ならではの強みですね。
コーエーテクモ
(コーエーテクモは、中小扱いするにはやや大きすぎる気はしますが)
コーエーテクモ(というかコーエー)の作品は、とにかく使いまわしが多いです。
無双シリーズや信長の野望などは、ほんの少し追加要素を入れたり、
データを入れ替えただけの類似作品を何本も発売しています。
データを流用することで、開発費を削減しているのです。
無謀なソフト開発はせず、 とにかく安定した売上げが見込める作品ばかりを開発することで、
非常に安定した経営が行えているのです。
それ故に、コーエーもゲーム業界では数少ない無借金経営会社なのです。
ただ、あまりに同じような作品ばかりを乱発しているので、
一部のユーザーからは非難の声がでていることも事実です。
しかし、使いまわし作品でも、毎回一定の売上げを記録していることからすると、
ファンはそんなこと気にしていないのかもしれません。
また、最近はソフト価格が普通になっていますが、
ファミコン時代のコ−エーは、1万円を超える価格でソフトを発売していたこともあります。
(他社のファミコンソフトは5000円前後)
コーエーはパソコンゲーム市場で人気を博していたメーカーであり、
パソコンゲームソフトは1万円以上するものも珍しくない時代でした。
そのことから、コーエーはファミコンでもパソコンと同等の価格設定を行っていたのです。
そのような高価格でも、コーエーソフトは一定の売上げを記録していました。
ファミコンでコーエー作品を買っていたユーザーは、パソコン時代からのファンが多かったのか、
1万円以上の価格を何とも思っていなかったのかもしれません。
固定ファンのいる作品ならば、少々価格が高くても受け入れてもらえるという証左なのかもしれません。
レベルファイブ
レベルファイブも、中小というよりも、半分大手に近い存在でしょうか。
元々はデベロッパーとして、ドラゴンクエスト8(スクウェアエニックス)や、
ローグギャラクシー(ソニー)などの作品開発に携わっていました。
2007年のレイトン教授と不思議な町から、パブリッシャーとしても活動を開始、
そのレイトン教授シリーズやイナズマイレブンはミリオンヒットを記録しました。
新参ゲームメーカーでのミリオンヒットは、正に異例の成功です。
レベルファイブが躍進した理由は、しっかりとした宣伝にあります。
レイトン教授シリーズは、大泉洋や堀北真希といった有名芸能人を起用し、高い宣伝効果を狙いました。
イナズマイレブンは、アニメ化やコロコロコミックによる漫画連載などのマルチメディア戦略を実施し、
子供層へ精力的なアピールを行いました。
そういった宣伝構成によって、レベルファイブはヒット作を連発してきたのです。
ゲーム業界では、任天堂こそ宣伝を重視していますが、
それ以外の多くのメーカーは宣伝を疎かにしてしまっていると感じます。
どれだけ面白いゲームを作っても、それを多くの人に知ってもらわなければ売れることはありません。
ですから、レベルファイブの戦略は非常に正しいと言えるでしょう。
(しかし、そんなレベルファイブの躍進も長くは続かなかったのですが…)
このように、中小ゲーム会社でも頑張っているメーカーはたくさんあるのです。
大手だけでなく、中小や新規参入メーカーが活躍できるようにならなければ、
ゲーム業界はますます縮小してしまうでしょう。
これからの中小ゲーム会社の躍進に期待したいですね。
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