近年、ゲームハードの性能が向上してきたことで、ソフト開発費はどんどん膨れ上がってきており、
ゲーム会社の経営を大きく圧迫しています。
そのため、ゲーム会社は開発費を抑えるための工夫を行っています。
最もオーソドックスな手法は、一度作った作品の素材を別の作品に流用することです。
似たようなゲームを作る場合、グラフィックやサウンド、プログラムなどを使いまわすことで、
開発時間や費用を大幅に短縮できるのです。
有名な使いまわし作品といえば、ストリートファイターIIシリーズでしょうか。
ダッシュ・ダッシュターボ・スーパー・Xなど、
一部キャラクターや必殺技を追加しただけの続編(?)を乱発していました。
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(C)CAPCOM |
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ストリートファイターU | ストリートファイターU´ターボ | スーパーストリートファイターU |
唯一、画面端に風林火山の看板があります。 | 夜になって背景色が若干変わっていますが、基本的にはストリートファイター2と同じです。 | スコア表記や、波動拳の形など、微妙に違う点もありますが、大部分はやはり同じです。 |
格闘ゲームというジャンルを確立したストリートファイターIIですが、
その格闘ゲームブームは長くは続きませんでした。
ゲーム内容がどんどんマニア向けになっていったことが、衰退した主な要因ではありますが、
その背景には、こういった使い回しによる乱発も影響していたのかもしれません。
コーエーテクモの無双シリーズも、流用のオンパレードです。
特に、プレイステーション3用タイトルが顕著で、
通常の三國無双・戦国無双の他にも、ガンダム無双・北斗無双・ワンピース海賊無双など、
実に20作品以上が発売されています。
キャラクターはそれぞれ違うものの、中身はどれもほぼ同一であり、
基本的なプログラムはほとんど流用されていることが窺えます。
無双シリーズ以外にも、信長の野望や、ウイニングポストなど、
コーエーテクモはとにかく流用作品が多すぎます。
しかし、これだけ代わり映えしない作品を乱発しているにも関わらす、
個々の作品は、毎回一定の売上げを記録している点は興味深いです。
実際、コーエーテクモは、ゲーム業界では珍しい無借金経営会社でもありますからね。
少し話はそれますが、任天堂の看板キャラクターであるマリオは様々な作品に登場しているものの、
ゲームの中身はそれぞれ全然違います。
・キャラクターは違うけど中身は同じ無双シリーズ
・キャラクターは同じだけど中身は違うマリオシリーズ
何とも対照的な存在であると感じます。
筆者が最も印象に残っている使い回しは、ファミコンのファミリースタジアムです。
ファミリースタジアムは、1986年にナムコが発売した野球ゲームで、
累計200万本を超える大ヒット作となりました。
その翌年には、ファミリースタジアム87が発売されました。
このファミリースタジアム87、内容は前年のファミリースタジアムを踏襲しており、
バッターボックスの移動可能範囲が若干違うことと、
選手データが変更されていること以外は、全く同じ内容です。
これだけなら、スポーツゲームにはよくある使いまわしで、
そんなに特筆するようなことではないかもしれません。
ファミリースタジアム87のすごいところは、ソフトパッケージまで流用しているところです。
(左:ファミリースタジアム
/ 右:ファミリースタジアム87)
前年のファミリースタジアムのパッケージに87のシールを貼っただけというのは、
究極の流用(手抜き)だと思います。
このように、ゲームソフトの素材流用は昔から行われていました。
ただ、あまりにも同じような作品を乱発するのは、ユーザーから敬遠されてしまうことにもなりかねません。
特に、近年はほんのわずかな追加要素を入れただけのマイナーチェンジ版を発売する作品が多く、
完全版商法などと揶揄されてもいます。
しかし、これからのゲーム業界で生き残っていくためには、 こういった使いまわし戦略も必要悪なのかもしれません。
…まあ、何とも寂しいことですけど。
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