日本のゲーム市場はどんどん縮小しています。
また、少子化で人口そのものも減少していますから、
このままでは日本のゲーム会社は破滅してしまうでしょう。。
この状況を打破するためには、まだ開拓されていない海外市場を狙っていかなければなりません。
もちろん、日本市場を見捨てろという意味ではありません。
日本でもゲーム人口の拡大に努めていくことは大前提で、
その上で欧米以外の海外市場へ進出していかなければ、ゲーム業界に未来はありません。
新たなる市場開拓先として真っ先に上がるのは、何と言っても13億人もの人間がいる中国市場です。
しかし、中国はコピー大国でもありますから、パッケージソフトビジネスがほぼ不可能なのもまた事実です。
中国のオンラインゲームは4000億円以上もの市場規模がありますが、
パッケージソフト市場はわずか8億円程と、とてもまともに商売はできていません。
しかもそのオンライン市場の約8割が中国産のソフトですから、
海外ゲーム会社が中国ゲーム市場で活躍することは非常に困難な状況なのです。
世界一の人口を誇る国で商売が成立しないというのは、ゲーム業界最大の弱点なのかもしれません。
そこで筆者は、他に新興ゲーム市場と成り得る国がないのか考えました。
思いついたのは、中国と同じBRICsの一国であるブラジルでした。
ブラジルの人口は約1億8000万人と日本の1.5倍程もありますし、
一人あたりのGDPも10000ドル以上と、中国の2.5倍です。
しかも主言語がポルトガル語なのも都合の良い点です。
欧州地域でゲームが発売される際は、スペイン語にも翻訳されています。
スペイン語とポルトガル語はほぼ同一のような言語ですから、
欧州用ソフトがブラジルでもそのまま使用できるのです。
以上の点から推察するに、これはかなり有望な市場なのではないでしょうか?
………と、思っていました。
しかし、色々と調べていく内に、様々な問題があるということに気付かされました。
まず、ブラジルも中国に負けない程のコピー大国だったということです。
2004年時点でのゲームソフトの違法コピー率は94%にも上ります。
中国がコピー大国で商売にならないからこそ、他に有望な市場はないかと模索しているのに、
その候補国のブラジルもコピー大国なのでは意味がないです。
(これなら人口が多いだけ中国の方がマシかも)
更に、ブラジルは関税率が恐ろしく高いのです。
ブラジルでは自国の電子産業育成のために、
ゲーム機を始めとした電子機器にはメチャクチャ高い関税がかけられているのです。
日本ではWiiが20000円、PS3が24980円で販売されていますが、
これがブラジルではWiiが2299レアル(約114950円)、PS3は2399レアル(約119950円)と、 価格はなんと約5倍!
ソフトについても、プレイステーション3ソフトは200レアル(約10000円)と、
日本の3割増し程度になっています。
ちなみに違法コピーソフトは10レアル(約500円)ですから、これでは海賊版が横行するのも当然です。
こんなとんでもない高価格では、商売が成り立つわけがありませんね。
そして筆者は全く知りませんでしたが、
2009年にはZeebo社からZeeboという新興国向けのゲーム機が発売されていたようです。
(Zeebo社はブラジルのゲーム会社Tectoyと
アメリカの携帯電話会社クアルコムを中心とした12社の複合出資会社)
ブラジルでの価格は299レアル(約14950円)。
新興国特有の密輸・海賊版・法外な価格での販売といった問題を解決するために、
手頃な値段で正規のゲームを楽しめることを目的として開発されました。
そのため、ソフトは3G回線を使ったダウンロード専売で提供されました。
3G回線の契約は必要なく、インターネットも無料で利用できるなど、なかなか使い勝手は良さそうです。
筆者の見た感じでは、グラフィック性能はニンテンドウ64ぐらいでしょうか。
これなら商売として成り立つかも?と思いましたが、結局は販売は振るわなかったようで、
2011年にはブラジルでのサービスは終了してしまいました。
いくつかのサードパーティー(ナムコやカプコン)の協力は得られたものの、
終始ソフト不足であることは否めなかったようです。
といった具合に、ブラジルでのゲーム事業は一筋縄ではいかないようです。
そもそも、新興国を狙うなんていうことは、どこのゲームメーカーも考えていて当然ですよね。
それで上手くいっているという話が全然聞こえてこないのですから、
やはり商売として成り立たないということなのでしょう。
筆者の考えは何とも甘かったようです。
しかし、これらの問題は解決できないのでしょうか?
apple社のiPod(iTunes)が成功した大きな理由は、曲単価を劇的に下げたことです。
ジョブズ氏には、「正規品が高いからこそコピー品が横行する。
だったら、コピー品が儲からないぐらい正規品の価格を安くすればいい」という発想があったのです。
(iTunesでは、1曲あたり150円程度で販売されています)
そして、実際にiPodは音楽業界に革命を起こす結果となったのです。
ゲーム業界においても、これは同じではないでしょうか。
確かに、ゲーム開発費は音楽とは比べ物にならないほど高いですから、
最新ゲームを安価で提供することは難しいでしょう。
しかし、過去のソフトの流用ならば開発費はゼロなのですから、
バーチャルコンソール専用ハードのようなものを作れば、成功の可能性は充分ありそうです。
(バーチャルコンソールとは、Wiiおよびニンテンドー3DSで、
ファミコンやゲームボーイといった過去のゲームソフトを数百円でダウンロード販売するシステムのことです。
同様の仕組みとして、プレイステーションのゲームアーカイブスがあります)
特に任天堂には豊富なソフト資産がありますから、ソフト不足にもならないでしょう。
単価は安いですから、自社の利益に大きく貢献することはないでしょうが、
コストがほぼかからずに小銭が稼げるというのは、なかなか良いシステムではないでしょうか。
また、日本のメーカーが現地法人と協力して、Zeeboのようなダウンロード専用ハードを作れば、
関税の問題もクリアできるかもしれません。
ゲーム市場が頭打ちしている現在、新たなマーケットを手にすることができたメーカーが、
次の勝者となるのは確実です。
上記の筆者提言が、新たなマーケットを手にする一つの方法ではないでしょうか。
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