ゲーム市場が縮小している近年、ゲーム人口拡大のためには、新たなユーザーの獲得が絶対に必要です。
しかし、現状は(任天堂以外)ほとんどそのような試みが行われていないと感じます。
ゲームハードの進化に伴い、ゲームソフトの内容は年々複雑化してきています。
それ故に、新規ユーザーが入りにくい状況になってしまっています。
任天堂はライトユーザー向けのソフトを多く発売し、実際にユーザー層の拡大に成功していると思いますが、
その他のメーカーは、従来からのコアユーザー向けのソフトばかりが目立ちます。
現在のゲーム業界は、コアユーザーとライトユーザーの二極化が進んでしまっており、
その中間層的な存在は非常に少なくなっています。
(これはゲーム業界に限らず、どの分野においてもそのような傾向が強いでしょうが)
前述の通り、ゲームの内容はどんどん複雑化してきていますから、
ライトユーザーがコアユーザーになることは難しいです。
もちろん、コアユーザーがライトユーザーになることも考えられません。
つまり、ゲーム業界という一つの市場にありながら、
二つの相容れない枠組みが形成されてしまっているのです。
これでは、ゲーム市場が発展するわけがありませんよね。
この状況を打破するには、いったいどうすれば良いのでしょうか?
ライトユーザーにもコアユーザーにも受け入れられるソフトを作るというのがベストなのでしょうが、 これはなかなか困難でしょう。
難易度選択ができるゲームは珍しくありませんが、
どれだけ易しくしてもクリアできないという人はいるでしょうから、難しいところです。
任天堂がこれに対して興味深い試みを行っています。
筆者は自分ではゲーム上級者だと思っていますから、
今までのマリオシリーズは、特に苦戦することなくクリアできていました。
しかし、一般ユーザーはマリオをクリアできない人が大勢いるらしいのです。
これは正直意外でした。
(このあたりの一般ユーザー目線が足りていないところは、筆者自身反省するばかりです)
任天堂のNEWスーパーマリオブラザーズWiiは、こういった問題の解決策を示しました。
NEWスーパーマリオブラザーズWiiでは、同じステージで8回ミスをすると、
ステージ開始地点に緑色のブロックが出現します。
このブロックを叩くと、プレイヤーがマリオの弟ルイージに代わります。
そして、このルイージはコンピュータが操る存在となり、
ステージをクリアするまで自動で進んでくれるのです。
途中で自分に操作を代えることもできますので、難しい部分だけルイージに進んでもらって、
残りは自分で頑張るといったプレイも可能です。
また、ルイージはステージの道中を、比較的易しい動きで進むようになっており、
プレイヤーは次回プレイ時にその動きを参考に進めることで、
自分の力でクリアできるようになるかもしれません。
このシステムは、あまりにゆとり仕様すぎると一部から非難の声が挙がりましたが、
ゲームが発売されるとそれはすぐに収まりました。
ゲーマーにとっては、緑ブロックが出ること自体が負けに等しいことなのです。
故に、たとえマリオの残機が99あろうとも、一つのステージでミスできる回数は7回までなのです。
つまり、どれだけゲームが苦手な人であってもクリアが可能な点と、
ゲーム上級者でも緊張感を持ったプレイができるという点の、
どちらにも対応した画期的なシステムなのです。
マリオの生みの親である宮本茂氏は、「アイデアとは複数の問題を同時に解決することだ」と語っており、
この救済システムは、正にそれを体言していると思います。
ゲームユーザーの二極化は非常に深刻な問題です。
このままでは、ゲーム市場はますます衰退してしまうでしょう。
ゲームメーカー各社がこの問題に真剣に取り組み、改善されることを期待しています。
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