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ゲームメーカーの失敗例 開発費編

ゲームメーカーの中には、堅実な経営をしているメーカーもあれば、
愚かな戦略によって大失敗してしまったメーカーもあります。
その失敗した例をいくつか挙げてみたいと思います。

今回は、開発費にまつわる失敗例です。

 

セガ:シェンムー 一章 横須賀

シェンムーはドリームキャストで発売されたセガのソフト。
製作費70億円をCMで大々的に発表したことで話題となりました。
これは、最も開発費が使用されたテレビゲームとしてギネス認定もされました。
(現在では、グランド・セフト・オート4の約100億円がこの記録を更新しています)

こんなにも多大な開発費となった一番の理由は、リアルな世界観を構築したことでしょう。
キャラクターは全て別々のモデリング(町の一般人なども一人一人顔が違う)を用意する程のこだわり。
そのキャラクター達は"生活習慣プログラム"によって、
各々が町中で自由に日常生活を送っています。(プレイヤーの干渉の有無に関わらず)
更には、キャラクターは全てフルボイスで会話します。
いわば、実際の町をゲーム内で再現したかのような、徹底した作り込みが行われているのです。

それ以外にも、ハリウッドやスタジオジブリなどの外部会社の人材を起用したことも、
開発費を増大させていたでしょう。
また、元々セガサターンで開発されていたものを、
新たにドリームキャスト用に作り直したことも影響していると思います。

こういった様々な要因が積み重なって、70億円もの開発費となってしまったのです。
しかし、これだけ膨大な開発費を投じたにも関わらず、
日本での販売本数は50万本程度(セガダイレクト分を含む)でしかありません。
海外の販売数は不明ですが、ドリームキャストが世界的に普及していないことからすると、
それ程大きな販売数にはなっていないと思われます。
そういった事情から推測すると、おそらくシェンムーは歴代で最も赤字額の大きなゲームソフトでしょう。

とことんリアルを追求するという試みは評価できると思いますが、
やはり70億円もの開発費は無謀だったとしか言いようがありません。
無駄な部分は削ぎ落として、良い意味で手抜きすることも、
ゲーム開発にとって大事なことではないでしょうか?

 

レベルファイブ:二ノ国

 

レベルファイブは新進気鋭のメーカーとして活躍していた時期もありましたが、
そのレベルファイブの活躍も長くは続きませんでした。

今まで上手く回っていた歯車が狂い始めたのは、PS3版二ノ国の商業的大失敗からです。
それまではハードをずっとDS一本に絞っていたのですが、
突然、開発費が膨大なプレイステーション3で展開するようになったのは無謀でした。
DS版二ノ国は50万本を超えるヒットだったにも関わらず、PS3版は10万本にも届かずに終わりました。
二ノ国(のアニメパート)はスタジオジブリが製作協力として関わっていますが、
プレイステーション3のユーザー層とジブリアニメは相性が良くなかったのでしょう。
(こんなことはすぐにでも気付きそうなものですが…)

そもそも、何故プレイステーション3で展開することを決めたのでしょう?
今まで上手く行っていたことで、自社を過大評価してしまったのでしょうか。
何とも愚かな戦略だったと感じます。

プレイステーション3版二ノ国の失敗がよほど痛手だったのか、
以後は様々なタイトルの完全版を乱発して小金を稼ぐつまらないメーカーに落ちぶれてしまいました。
かつてゲーム業界の新星として活躍していた頃の栄光は見る影もありません。
一時上手くいっていたからといって、調子に乗ってはいけないという見本かもしれません。

 

スクウェアエニックス:ファイナルファンタジー13

スクウェアエニックスの代表作といえば、ファイナルファンタジーです。
その13作目ファイナルファンタジー13は、プレイステーション3で発売されました。
しかし、膨大な開発費がかかるプレイステーション3故、開発は難航しました。
結果出来上がった作品は、ほとんど一本道を進むだけで、たまに(頻繁に?)ムービーが挿入されるという、
何とも単調な内容になってしまったのです。
売上げも200万本に届いていないという落ちぶれっぷり。
これはプレイステーションハードでのナンバリング最低売上げ(オンラインである11は除く)です。
グラフィックに注力するあまり、ゲーム内容が疎かになってしまった典型的な作品と言えるでしょう。

初代プレイステーションがトップハードの座を掴んだのは、
ファイナルファンタジー7の影響が非常に大きいです。
そのため、ファイナルファンタジー13をプレイステーション3で発売すると発表したことで、
多くのサ−ドパーティーがプレイステーション3でのソフト開発に乗り出しました。
しかし、プレイステーション3は5万円近くする高価格ハードであり、
発売当初は普及が進みませんでした。
2012年現在では、度重なる値下げによって多少は普及してきたものの、
プレイステーション2の半分にも満たない台数に留まっています。
当然、ソフト売上げも振るいません。
ファイナルファンタジー13に釣られて、
多くのサードパーティーがプレイステーション3にソフトを投入することになったのですが、
大多数のソフトは満足な売上げにはなっていません。。
近年のゲーム業界衰退の原因は、ファイナルファンタジー13による悪影響が大きいのかもしれません。

 

上記の3社は、全て開発費に関する失敗ですが、それぞれ違った方向性となっているのは興味深いです。
・とことんゲームを作り込んだことで膨大な開発費となったシェンムー。
・自社の能力やターゲット層を無視してHDハードで展開した二ノ国。
・グラフィックに注力したあまり、ゲーム部分が疎かになったファイナルファンタジー13。
ゲームメーカー各社は、こういった失敗を繰り返さないように、
反面教師として、ゲーム開発に取り組んでいってほしいものです。

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