ソニーは元々家電メーカーですから、プレイステーション本体の開発は上手く進んだものの、
ソフトについてのノウハウは皆無であり、そこはサードパーティーに頼らざるを得ませんでした。
しかし、当時は任天堂のスーパーファミコンが圧倒的な強さで市場を制覇していた時期であり、
ゲーム業界に新規参入するソニーは全く相手にされませんでした。
大手メーカーとしては唯一、ナムコがプレイステーションに興味を示してくれました。
当時の(今も?)ナムコは、任天堂に良い印象を持っていなかったのです。
ナムコといえば、ゼビウスやファミリースタジアムなどで、初期のファミコン市場を盛り上げた立役者です。
ファミコンは、メーカーの年間ソフト発売タイトル数が制限されていたのですが、
ナムコやハドソンといった一部の有力メーカーは、この制限が甘かったり、
ロイヤリティが抑えられていたりと、非常に好待遇で迎えられていたのです。
しかし、ナムコがファミコンに参入して5年、
初の契約更新を行うナムコに対し、任天堂はその優遇措置の撤廃を告げたのです。
優遇は期間限定であることはあらかじめ決まっていたことらしいですが、
見方によっては、ファミコンが普及したからナムコはもう用済みになったと受け取られかねない行為です。
ナムコにしてみれば、今までファミコンに貢献してきた恩を仇で返されたと感じたのでしょう。
ナムコはしぶしぶその条件を呑んで契約更新をしたものの、任天堂への不信感は拭えず、
ファミコンのライバルハードであるPCエンジンに注力するなどして、任天堂へ抵抗していたのです。
しかし、PCエンジンはファミコンやスーパーファミコンの足元にも及ばなかったため、
ナムコはより一層、任天堂への憎しみを増大させていったのでした。
そんな中、同じく任天堂に裏切られた(?)ソニーがゲーム業界に参入することになったのです。
ナムコがプレイステーションへ肩入れするのも不思議ではありません。
ナムコはリッジレーサーや鉄拳といった主力タイトルをプレイステーションへ提供し、
初期のプレイステーション市場を盛り上げたのでした。
(プレイステーションの開発ライブラリを整えたのもナムコらしい…?)
しかし、前述の通り、ナムコ以外のメーカーはあまりプレイステーションに乗り気ではありませんでした。
プレイステーションは3Dグラフィックスがウリでしたが、
当時のゲームはまだまだ2Dが主流であり、ゲームに3Dを持ち込むのは時期尚早と思われていました。
ソニーはいくつものメーカーを回って3Dの魅力を訴えたのですが、
ほとんどのメーカーは興味を持ってくれませんでした。
中には、「悪いことは言わないからゲーム業界に参入するのはやめておきなさい」
と忠告してきたメーカーもあったようです。
この状況を一変させたのは、何とセガでした。
と言っても、別にセガがプレイステーションに参入してくれたわけではありません。
そもそも、この時のセガは新ハードセガサターンの発売を控えていた頃ですから、
他社のゲーム機にソフトを提供するはずもありません。
セガが行ったことは、バーチャファイターを発表したことです。
それまでも世の中に3Dゲームは存在していましたが、技術的、性能的にまだまだ未熟なものでした。
しかし、バーチャファイターは3Dでの格闘ゲームを実現しました。
キャラクターが滑らかに動き回るその映像は、ゲームの新時代を感じさせるものでした。
バーチャファイターを見た多くのゲームクリエイターは、3Dでもゲームが作れるということに驚愕し、
その結果、様々なメーカーがプレイステーションに参入を表明してくれたのでした。
まさかライバルハードに塩を送るかたちになってしまったとは、セガの間の悪さは相変わらずですね。
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プレイステーション誕生秘話Part.1 裏切りの任天堂編
プレイステーション誕生秘話Part.2 ハード構成編
プレイステーション誕生秘話Part.5 その後のプレイステーション編
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