家電量販店には、テレビやエアコンがたくさん陳列されています。
それらはパッと見では違いがよくわかりませんよね。
しかし店員に尋ねれば、すぐさま性能や細かな違いについてレクチャーしてくれるでしょう。
では、ゲームソフトについてはどうでしょうか?
店頭に並んでいる全てのゲームソフトの詳細を説明できる店員はまずいないと思います。
これは忌忌しき問題ではないでしょうか?
テレビの詳細を説明してくれる店員はいるのに、
何故ゲームに詳しい店員はほとんどいないのでしょう?
もちろん、ゲームソフトの利益はテレビに比べてはるかに安いですから、
そんな商材に専門の店員を配置するのはコスト的に難しいというのはわかります。
しかし、だからといって自分の店で取り扱っている商品を理解していなくても良いはずがありません。
最近は、経営が苦しいと嘆くゲーム取扱店をよく耳にします。
確かにその言い分も理解できますが、
ゲームを売るための努力を怠っておきながら文句を言うのはあまりに愚かではないでしょうか?
ただ漠然とソフトを陳列しているだけでは、売上げは伸びません。
ゲーム取扱店は、顧客にソフトの魅力を伝えることの重要さを理解しなければいけません。
具体的には、もっとポップやチラシなどでソフトの面白さをアピールすべきです。
ソフトについてのコメントが一言書いてあるだけでも、客はぐっと買いやすくなると思います。
筆者がもしゲーム取扱店の店員になったら、絶対に売上げを伸ばせる自信があります。
筆者はそれなりにゲームに詳しいと自負していますが、
店頭で販売されているソフトの詳細を説明しろと言われても、おそらく半分もできないでしょう。
ゲームに詳しい(はず)の筆者ですらこうなのですから、
ゲームに詳しくない人がソフトを選ぶのは大変だろうなと思います。
目的のソフトが決まっていれば店頭で探すこともできるでしょうが、
ライトユーザー(特にDSやWiiユーザー)は、特定のゲームを買いに来るよりも、
「何か面白いソフトはないかな?」と何気なく店頭へ足を運ぶことが多いと思います。
しかしそういう人たちは、店頭に並ぶ何十何百ものパッケージを見て愕然としてしまうかもしれません。
「このゲームはどんなものなのか」「似たようなタイトルのこっちとは何がどう違うのか」
などを判断することは困難でしょう。
例えば、DSでTOEICテストの勉強をしたいと思った時、店頭にはいくつものソフトが陳列されているでしょう。
上記はほんの一部です。(ちなみに全て別々のメーカーのソフト)
あなたはこれらのソフトの内容の違いを説明できますか?
筆者はさっぱりできません。
こんなに色々あるのですから、客としてはどれを選べば良いのかわかりませんよね。
これ以外にも、英検ソフト・英会話ソフトなど、英語に関するソフトはまだまだたくさんの種類がありますから、
尚のこと、ソフト選びは大変でしょう。
また、最近は同一内容のソフトを複数のハードで発売する、いわゆるマルチタイトルも多く、
似たようなパッケージが並んでいては区別も困難でしょう。
上記はワールドサッカーウイニングイレブン2012のパッケージです。
(Wiiのみタイトルにプレイメーカーと名付けられています)
対応ハードは、左から順に3DS・Wii・PS2・PS3・PSPです。
パッケージにはきちんと機種名が記載されていますし、
ゲームに詳しい人ならば、パッケージの大きさや色などで、どのハードのものかはすぐわかるでしょう。
しかし、ゲームに詳しくない人にとっては全部同じに見えてしまうかもしれません。
更に、最近のゲームソフトは開発費が膨大になっており、
一つのソフトを発売しただけでは開発費を回収することが難しくなっています。
そのため、メーカーは素材を流用して安く開発したバージョン違いのソフトをいくつも販売することは珍しくありません。
例えば、真・三國無双シリーズは、いくつものハードで様々なバリエーションが展開されています。
真・三國無双
真・三國無双 2nd Evolution
真・三國無双 NEXT
真・三國無双 VS
真・三國無双 MULTI RAID
真・三國無双 MULTI RAID Special
真・三國無双 MULTI RAID 2
真・三國無双 MULTI RAID 2 HD Version
etc…
これでは、もう何が何やらわからないと思います。
こんな状態では、ライトユーザーはどうやってゲームを選べば良いのかわかりませんよね。
かといって店員に尋ねても、店員が詳細を知らない(ことが多い)のですから、もうお手上げです。
その対策として、任天堂は一部の店頭に
"ニンテンドーおさがしガイド"というナビゲーション端末を設置しています。
http://www.nintendo.co.jp/n10/osagashi_guide/index.html
・新作ソフト紹介
・キーワードやジャンル検索
・店頭のパッケージを端末のカメラにかざせばソフト照会映像が表示される、
・放送中のCM映像が見れる
などの機能があり、店頭でソフトを探す際に非常に便利です。
しかし、これは任天堂の端末ですから、
プレイステーションやXboxといった他ハードには対応していません。
それに、端末が設置されている店舗は極一部ですし、
設置店舗であっても、客がこの端末の存在を知らないという可能性もあります。
また、お年寄りでは機械操作に戸惑うかもしれません。
そういう意味では、このニンテンドーおさがしガイドは
ライトユーザーのゲーム探しを手助けする一つの回答ではあるかもしれませんが、
これで全ての問題が解決するとはいかないようです。
これからのゲーム販売店には、ゲームの詳細が説明できる店員…
いわゆるゲームソムリエとでも言うべき存在が必要なのではないでしょうか?
(わざわざ解説するまでもないでしょうが、
ソムリエとは、レストランで客の要望や料理に合ったワインを選定する職種のこと)
ゲーム内容・類似作品との違い・ゲームクリアまでにかかる時間などを詳しく説明し、
顧客の嗜好や環境に合ったゲームをオススメしてくれる存在は絶対に重宝されると思います。
究極的には、ゲーム業界全体でソムリエ資格を認定する仕組みができれば理想ですが、
そこまでいかなくとも、例えばビックカメラなどの大手家電量販店で、
「ビックカメラでは全店ゲームソムリエが常駐していますので、是非ともご来店下さい」
といったアピールができれば充分でしょう。
それが評判となれば、他の店でもソムリエ制度導入が広まっていくかもしれません。
昨今のゲーム業界は経営難で苦しい立場に追い込まれています。
この難局を乗り越えるには、ゲームを開発するメーカーだけでなく、
ゲームを販売する小売の努力も重要だと思います。
ゲーム業界に関わる全ての人たちが協力し合って、業界全体を盛り上げていってほしいものです。
(ゲームソムリエについては、今後改めて詳細を提案する予定です)
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