ゲーム会社の決算発表では、前期比や前年同期比といった比較が行われることがありますが、
この比較には全く意味がないと思います。
販売本数は、大作ソフトが一本発売されただけで300万本とか500万本ぐらい変わることもあるのですから、
前期から○○本減ったとか、前年同期よりは良かったとか論じることはナンセンスです。
(ただ、期間ごとの推移を見続けて、長いスパンで経営を見守ることは重要だと思います)
ゲーム事業は、お米や野菜を作るのとはわけが違います。
お米なら、余程の天災がおきない限り毎年秋には収穫ができるでしょう。
しかし、ゲーム開発はそういうわけにはいきません。
毎年決まった時期にソフトが完成する保障なんてないのですから。
ゲームソフトの開発には、短くとも一年程度はかかります。
大作ソフトならば三年や四年、あるいはそれ以上の期間になることもあります。
当然ながら、制作期間中のソフトは一切利益を生み出しません。
発売されて消費者の手に渡って、初めて利益となるのです。(日本では問屋や小売に卸した時点で利益になります)
これだけ開発期間が長い現状において、毎年安定した利益を出し続けるというのは困難です。
(多くのソフトメーカーは開発チームを複数持っているので、
数年間全くソフトが発売されないという事態にはならないでしょうが)
ゲームソフトの発売延期は日常茶飯事ですから、 尚のこと安定した経営体制というのは難しいでしょう。
かつて、エニックスはドラゴンクエストに頼りきりの会社でした。
ドラゴンクエストは300万本以上の売上げが見込めるキラータイトルですが、
開発に3〜4年はかかってしまうという弱点も抱えていました。
エニックスは、ドラゴンクエスト以外にはビッグタイトルを持っていません。
ドラゴンクエスト発売年と、それ以外の年では大きく収益が違っていたのです。
この経営の不安定さが、スクウェアとの合併に至った一因なのです。
まあ、今でもその不安定ぶりは変わっていない気もしますが…。
←キラータイトルの発売時だけ売上げが伸びる事例
もちろん株式会社であるならば、毎年安定した利益を出すことが求められるのは当然ですが、
ゲーム産業においては、現状の仕組みは適していないのではないでしょうか?
安定した利益を出さなければならないが故に、
手抜きのソフトや未完成に近い状態で売り出すという最低の行為が横行してしまっているのですから。
ゲーム会社の情勢は短期間で判断をせずに、二年や三年といった長い目で見て評価をしなければいけないでしょう。
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