64DDとは、任天堂が発売したニンテンドウ64用磁気ディスクドライブです。
かつて任天堂が発売したファミコンディスクシステムの流れを汲んでいると言えるかもしれません。
当初はニンテンドウ64が発売してすぐの1996年末に発売される予定でしたが、
開発上の問題によって度々延期され、最終的には1999年末に発売(正確にはレンタル)となりました。
ニンテンドウ64はソフトがロムカセットで提供されていました。
セガサターンやプレイステーションがディスクメディアによる大容量をウリにしていた中で、
任天堂は頑なにロムカセットにこだわっていたのです。
その理由は、ディスクメディアの読み込み時間の遅さを嫌ってのことでした。
またロムカセットは、内部に特殊なチップを詰め込むことによって、
性能をある程度拡張することも可能だったという利点もあったので、
ディスクメディアの採用を見送っていたのです。
しかし、ディスクメディアの大容量は魅力的であり、
また、非常に安価で生産できるというメリットもあります。
そこで、ロムカセットとディスクメディアの良いとこ取りを狙ったのが64DDなのです。
64DDのソフトメディアは、ロムカセットとの併用が可能な磁気ディスクです。
基本的なゲーム部分はロムカセットが担当することで、データの高速アクセスが可能になります。
そして、追加シナリオやマップを大容量の磁気ディスクで提供することで、
大容量ながらに読み込みが早いという環境が実現できるのです。
また、磁気ディスクには書き換え可能な領域が設定されており、
ユーザーに次々と新しいゲーム内容を提供することが可能だったのです。
現在のゲーム機では、ハードディスクを利用することで、
高速読み込み・大容量・データ書き換えが実現できていますが、
これをハードディスクなしに、10年以上前に実現しようとしていたのは驚きです。
しかし、64DDはさっぱり普及せずに終わりました。
64DDの磁気ディスクは、大容量をウリにしていた割には、わずか64メガバイトしかありませんでした。
(内38メガバイトが書き換え可能領域)
セガサターンやプレイステーションのディスクは640メガバイトもの容量がありますので、
64DDのディスクは、その僅か10分の1しかないということです。
また、発売当初は8メガバイトの容量しかなかったニンテンドウ64のロムカセットも、
後年には32メガバイトにまで増えており、64DDの大容量というメリットはかなり薄れていました。
更には発売の遅れから、当初64DD用として開発されていたソフトのほとんどが、
通常のロムカセットでの発売となってしまったのです。
実は、"ファイナルファンタジーZ "や"ドラゴンクエストZ"も64DDでの発売が予定されていたのですが、
64DDの容量の少なさや発売の遅れから、共にプレイステーションに移籍してしまったのでした。
(ドラゴンクエストZの石版システムは、64DDの拡張性を考慮してのものでした)
そもそも、64DDは入手自体が困難だったのです。
1999年6月、任天堂とリクルートが共同出資して"ランドネットDD"社が設立されました。
これは、64DDの運営を行うために設立された会社です。
64DDを利用するためには、このランドネットの会員になる必要があり、
同年11月には初回10万人限定で会員を募集しました。
しかし、ランドネットの入会方法がクレジットカードしかなかったのは問題でした。
任天堂ハードユーザーは子供層が多く、当然クレジットカードなど所持していません。
また、64DDは販売ではなくレンタルという形をとっており、
そのレンタル料を含めたサービス額が月2500円(64本体もレンタルした場合は3500円)もかかるなど、
非常にハードルが高いものだったのです。
その結果、会員は僅か15000人程度しか集まりませんでした。
この数字の見込み違いぶりは、初回限定50万台のVita3Gモデルが、
発売から半年経ってもまだ半分程しか売れていないことに似ているかもしれません。
そして、2001年2月末でサービスは完全終了しました。
サービス開始からわずか1年ちょっとでの終了は、あまりにも早かったと言わざるを得ません。
任天堂は過去にもサテラビューやバーチャルボーイといった失敗作を開発していましたが、
その中でも、64DDの失敗は群を抜いています。
当時の迷走ぶりは、セガ以上だったかもしれません。
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