ドリームキャストは、1998年11月27日にセガから発売された据え置き型ゲーム機。
価格は29800円。
特徴は、インターネットモデムを標準搭載していることです。
ゲーム機で最初にモデムを標準搭載したのは、
1996年3月にバンダイ(アップルと共同開発)から発売されたピピン@で、
ドリームキャストはそれに次ぐ2番目のゲーム機です。
ただし、ピピン@は世界累計でわずか42000台しか売れなかった歴史的大失敗のゲーム機ですから、
ネットワークを活用できたゲーム機としては、このドリームキャストが初の存在と言えるかもしれません。
インターネットを利用することで、格闘ゲームでネット対戦ができたり、
ファンタシースターオンラインのようなネットワークRPGも楽しめました。
また、Webブラウザ"ドリームパスポート"を使用することでWebサイトの閲覧も可能と、
現在のネット時代を先取りしたゲーム機だったのです。
宣伝CMには、同社の湯川専務(湯川英一氏)が出演。
「セガなんてだっせーよな!」
「帰ってプレステやろうぜ!」
といった自虐的な内容が話題となり、湯川専務は一躍時の人になりました。
ゲームデータを記録する媒体は、ビジュアルメモリが採用されました。
ビジュアルメモリには、データの記録領域のほかにも、
モノクロ液晶・十字キー・A/Bボタン・スピーカーが搭載されており、見た目は小型のゲーム機といった印象です。
(後にプレイステーションでも同様の機器であるポケットステーションが発売されました)
また、専用のソフトをダウンロードして再生できる機能が備わっており、
実際にミニゲーム機として利用することも可能です。
難点は、電池の消耗が異常な程早かったことです。
ビジュアルメモリを使用していない間にも待機電力を消費するため、電池は半年も持たずに消耗しきってしまうのです。
ただし、記憶媒体はフラッシュメモリですから、電池が切れてもセーブデータが消える心配はありません。
ちなみに、電池が切れた状態でゲーム機のスイッチを入れると、かなりの大音量で「ピー!」という警告音が鳴ります。
これは、ドリームキャストユーザーにとってお馴染みの光景です。
様々な機能を持って発売されたドリームキャストでしたが、
結局はソニーのプレイステーション2との対決に敗れ、
これを最後にセガはゲームハード事業から撤退することとなりました。
ドリームキャストがプレイステーション2に及ばなかった理由はいくつもあります。
まずは上位互換性がなかったことが挙げられます。
プレイステーション2は上位互換があったので、プレイステーションソフトのほぼ全てが遊ぶことができました。
ハード発売初期のソフト不足時において、前世代ハードのゲームが遊べるというのは非常に大きいメリットなのです。
技術的には、ドリームキャストにセガサターンとの互換性を持たせることは可能でしたが、
専用のチップを搭載する必要があり、その分コストも上がってしまうために採用を見送ったのです。
ソフト供給媒体にも問題がありました。
ドリームキャストのソフトは独自規格のGD-ROMというディスクで供給されており、
その容量は1GB(CD-ROMの約1.5倍)でした。
ですが、プレイステーション2に採用されたDVDディスクは4.7ギガもの大容量があったのです。
(もちろん、ドリームキャストにDVD再生機能はありません)
まあドリームキャスト発売時は、まだDVDのコストが高価だったため、採用に踏み切れなかったのは致し方ないとも言えますが、
結局GD-ROMというものは、何とも中途半端な存在に終わったのです。
目玉のネットワーク機能も万全ではありませんでした。
現在では、日本の多くの地域でブロードバンド回線での定額利用ができますが、
当時はまだほとんどが電話回線を使用したダイヤルアップ(接続時間に応じて利用料金が加算される)の時代です。
何時間もネットゲームで遊ぶと、利用料金は数万円、場合によっては十万円以上もかかることもありました。
これでは、気軽にネットゲームを楽しむことは困難です。
ちなみに、2012年の現行ゲーム機は全てネットワーク機能が付いています。
そう考えると、ネット時代の到来を見越していたセガの先見性は見事なものでしたが、
周りの環境がそれに追いついていなかったというのは、何とも悲しい現実です。
(これは失敗理由と直接的な関係はないと思いますが)
ドリームキャストの一部のタイトルは、TSUTAYAでゲームレンタルを行っていました。
また、"@barai(アットバライ)"という新しい試みにも挑戦していました。
@baraiとは、1-2千円程度の格安版(ほとんど体験版)のゲームを販売し、
気に入ったら後に追加料金を支払うことで完全版をプレイできるようになるというシステムです。
しかし、どちらも物珍しさだけで終わり、広く普及するには至りませんでした。
あまり知られていない事実ですが、ドリームキャストの性能はプレイステーション2に引けを取りません。
発色に関して言えば、明らかにプレイステーション2を上回っています。
"機動戦士ガンダム 連邦VSジオン"や"電脳戦機バーチャロン"等は、
ドリームキャスト版とプレイステーション2版を見比べれば、その差は歴然です。
しかし、ソニーによる「プレイステーション2は6600万ポリゴンの性能!」というハッタリによって、
ドリームキャスト(300万ポリゴン)は大きな打撃を受けたのです。
(6600万というのは頂点計算だけの理論値であり、実際にゲーム上で描画できるのは500万程度)
ソニーの体質は、昔から変わりませんね。
ハード事業撤退後のセガは、
プレイステーション2やゲームボーイアドバンス等の他社プラットフォームへソフト供給を行うようになりました。
一部のユーザーからは「セガがハード事業を辞めたら最強のサードパーティーになるぞ!」という声も聞かれましたが、
実際には全然そんなことはありませんでした(泣)。
ドリームキャストの失敗によって、セガは多額の負債を抱えることになりましたが、
当時の社長兼会長だった大川氏が、私財の850億円をセガに寄付し、財務面での支えとなりました。
大川氏はその後体調が悪化し、ドリームキャストの終焉を見届けるような形で息を引き取りました。
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