ネオジオポケットは、1998年10月28日にSNKが7800円で発売した携帯ゲーム機。
画面はカラーではなく、モノクロ8階調。
バッテリーは、携帯ゲーム機としては珍しい単四電池(2本)を採用、稼働時間は約20時間でした。
据え置き機のネオジオは一部の格闘ゲームマニアのハートを掴み、 一定の市場を築くことに成功しましたが、
携帯機であるネオジオポケットは、さっぱりに終わりました。
操作キーは、メカニカルスイッチを利用したジョイスティックタイプで、操作性は非常に良好でした。
(現在のゲーム機でいうアナログスティックのような見た目ですが、アナログ入力には対応していません)
しかし、ボタンはわずか2つしかなく、格闘ゲームを遊ぶには困難なハード構成でした。
実際、ネオジオポケットではあまり格闘ゲームは発売されず、
パズルゲームや麻雀などのテーブルゲームが主流だったのです。
そもそも、ハード性能が高くなかったため、まともに格闘ゲームを移植することはできなかったのです。
そのため、リアルではなくデフォルメされた格闘ゲームばかりで、
従来の格闘ゲームファンからの支持は得られませんでした。
ネオジオユーザーの大半は格闘ゲームファンでしたから、
その格闘ゲームがまともに遊べない仕様では、売上げが振るうはずもありません。
また、ネオジオポケット発売の1週間前(1998年10月21日)に、
任天堂がゲームボーイのカラー版であるゲームボーイカラーを発売しており、
モノクロだったネオジオポケットは、非常に見劣りするものだったのです。
そして、失敗の最大の原因は、ネオジオポケットの発売前から、
カラーになったネオジオポケットカラーを(5ヵ月後に)発売すると発表したことです。
そんな発表をすれば、誰がカラーではないネオジオポケットを買ってくれるというのでしょう?
この謎の行為は、ゲーム業界の販売戦略において、トップクラスの愚作だと言えるでしょう。
CMはゲームボーイを挑発するような内容で、
「I'm not BOY. 誰だってBOYを捨てるときがくる」というキャッチコピーでした。
しかし、ユーザーはBOYを捨ててはくれなかったようです。
ちなみに、かつてセガが発売した携帯ゲーム機ゲームギアのCMでは、
「で、ようへい君は白黒なの?つまんないね」と、これまたゲームボーイを挑発する内容でしたが、
ゲームボーイの足元にも及ばない結果に終わっていました。
他社を馬鹿にしておきながら、自らは爆死するという状況は滑稽でなりませんね。
1999年3月19日には、後継機ネオジオポケットカラーが発売されました。
価格は8900円と、カラーになっても値段はわずか1000円アップに留めました。
電池は単四から単三(2本)になりましたが、稼働時間は40時間に増加。
ネオジオポケットとの互換性もあり、ハードの魅力は随分と増したように思えます。
しかし、やはりソフト不足は否めず、市場で存在感を示すことはできませんでした。
ネオジオポケットや、アーケードでのハイパーネオジオ64の失敗、
更には格闘ゲームブームの終焉により、SNKの経営は悪化、2001年10月30日に倒産と相成りました。
格闘ゲームで一時代を築いたメーカーも、終わりはあっけないものでした。
倒産後、SNK関係の権利は、プレイモア社(現SNKプレイモア)に引き継がれていますが、
ネオジオポケットの権利は引き継がれていません。
ネオジオポケットには全く価値がないと判断されてしまったのでしょう。
余談ではありますが、ソニーの携帯ゲーム機"プレイステーションVita"は、
元々NGP(Next Generation Portable)という名称でした。
これはネオジオポケットの略称NGPと同じですが、両ハードは全く無関係です。
………失敗ぶりは似ているかもしれませんが。
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