ゲームボーイは、1989年4月21日に任天堂が発売した携帯ゲーム機。
価格は12500円。
1994年5月1日には8000円に値下げされました。
ソフト交換式の携帯ゲーム機としては、エポック社のゲームポケコンに次ぐ二機種目です。
ゲームボーイ(やバーチャルボーイ)の名称は、
コピーライターの糸井重里氏が名付けたと長年噂されていましたが、これは後に本人が否定しています。
ゲームボーイの開発を担当したのは、ゲーム&ウォッチも担当した横井軍平氏。
しかし横井氏は、ゲームボーイの開発において致命的なミスをしてしまいます。
当時の任天堂社長だった山内溥氏から、
サンプルとして開発された液晶が全然綺麗に見えないと指摘されたのです。
ゲーム&ウォッチは横長ですから、持ち手部分とディスプレイはほぼ同じラインにあります。
ゲームボーイは縦長で、ディスプレイが持ち手より上側にあります。
この角度の違いが、視認性に大きく影響したのです。
液晶画面というものは、視野角が限定されており、
その視野角から外れた位置から見ても綺麗には見えません。
特に、当時の液晶技術は現在よりも遥かに劣っていましたから、視野角はわずか10度程度しかありません。
横井氏は、ゲームボーイの試作品をチェックした際、
無意識のうちにゲーム&ウォッチと同じ角度で見てしまっていたのです。
これは横井氏を窮地に追い込みました。
既に液晶開発を担当するシャープは、40億円もかけて生産工場の建設を始めていました。
横井氏のチェックミスが、任天堂だけでなくシャープにまで多大な損害を与えてしまうかもしれないのです。
そのプレッシャーから食事がのどを通らなくなり、栄養失調になるほどに追い詰められていました。
横井氏の義理の兄が医師で、「今時栄養失調なんて聞いたことがない」と呆れられた程でした。
幸いなことに、シャープ側が試作の段階で視野角の広い液晶を開発しており、
それが問題なく綺麗に見えることがわかったため、横井氏は事なきを得たのでした。
ゲームボーイは、低コストに抑えるためと、バッテリー持続時間を考慮し、
モノクロ4階調の画面となっています。
その結果、単三アルカリ電池4本で約35時間という長時間のバッテリー持続を実現したのです。
ライバル社セガは、任天堂に対抗してカラーの携帯ゲーム機ゲームギアを発売しましたが、
こちらは単三アルカリ電池6本で、わずか3時間程しか稼動できなかったのです。
別にこれはセガの技術力不足というわけではなく、当時の技術ではこれが限界だったのです。
もちろん、これではゲームギアが売れるはずもありません。
ゲームボーイがモノクロ画面を採用したことは、英断だったと言えるでしょう。
ゲームボーイは、発売直後から人気を博しました。
初期に発売されたスーパーマリオランドやテトリスは、共に累計400万本以上を売上げる程の人気で、
ゲームボーイ市場を牽引したのです。
そして何と言っても、1996年2月27日に発売されたポケットモンスター 赤/緑は特筆ものです。
初回出荷本数は、赤と緑の2バージョンを合わせて23万本と、非常に静かなスタートだったと言えるでしょう。
しかし、発売直後から品切れになるお店が続出。
出荷しても出荷してもすぐに売り切れるという状況が、長期にわたって続いたのです。
その年の9月には100万本を突破。
1997年4月1日にはアニメ化もされ、人気が大爆発することに。
最終的な売上げは、2色合算で800万本以上!
合算とはいえ、これは日本のゲーム市場において、スーパーマリオをも超える史上最大の売上げなのです。
当時の低迷していた任天堂において、ポケットモンスターは正に救世主だったと言えるでしょう。
ポケットモンスター大ヒットの要因の一つが、ゲームボーイの通信ケーブルです。
ポケットモンスターには、友達のモンスターと戦ったり、
お互いのモンスターを交換したりといった楽しみ方があり、
それを実現したのが、この通信ケーブルの存在なのです。
ゲームボーイは、安価で販売するために極端にコストを削減していましたが、
この通信ケーブル用ソケットは、コストがわずか数十円だったので採用したとのことです。
(明確な利用目的があったわけではなく、深く考えずに付けたと言われています)
通信ケーブルがなければ、ポケットモンスター(やテトリス)は大ヒットしていなかったかもしれません。
これは、採用を決定した横井氏の大ファインプレイだったと言えるでしょう。
ゲームボーイは、様々なマイナーチェンジモデルが存在します。
1994年11月21日には、カラーバリエーションを追加したゲームボーイブロス(8000円)、
1996年7月21日には、小型軽量化されたゲームボーイポケット(6800円)、
1998年4月14日には、画面にバックライトを搭載したゲームボーイライト(6800円)が、
それぞれ発売されました。
これはゲームボーイに限ったことではありませんが、
任天堂のゲーム機は子供が扱うことを考慮して、非常に頑丈な設計がされています。
その強固ぶりはすさまじく、
湾岸戦争の空爆で崩壊した建物から発見されたゲームボーイが正常に動作したというのですから、
驚くほかありません。
このゲームボーイは、何と現在でも稼動しており、
ニューヨークの任天堂直営店「Nintendo World Store」に展示されています。
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