任天堂の2011年度は、上場以来初の赤字(432億円)となってしまいました。
その理由は任天堂は何故赤字となったのか? その1で記述しました。
今回は、その理由の一つである円高の影響について更に深く記述してみましょう。
3DSの値段設定のミスや、WiiやDS市場の衰退などは、任天堂自身の責任ですが、
為替による損失は、任天堂自身ではどうすることもできません。
特に、任天堂は海外比率がかなり高く(2011年度は海外比率77.1%)、為替に影響されやすいのです。
もし、2011年度が極端な円高ではなかったら、任天堂の決算はどうなっていたのか、
というシミュレーションをしてみましょう。
任天堂の2011年度の決算報告を見ると、売上高は6476億円。
内、4994億円が海外売上げによるものです。
地域別に見ると、米大陸が2509億円、欧州が2173億円、その他地域が310億円です。
(端数を切り捨てて表記しているので、合計が4994億円にはなっていません)
米大陸は、基本的にほとんどがアメリカ市場によるものですから、全てを米ドルで算出します。
イギリスの通貨はポンドなのですが、イギリス単一の売上げが不明のため、欧州は全てユーロで算出します。
その他地域とは、オーストラリアや一部アジアだと思いますが、国別の詳細がわからないため、
ここでは暫定的に全て米ドルで算出します。(売上げがたいして大きくないので問題ないでしょう)
以上の条件で計算してみましょう。
もうおわかりでしょうが、条件はかなりアバウトですから、あくまで参考程度の計算であることをご理解下さい。
2011年度末の為替レートは、米ドル約82円・ユーロ約109円です。
つまり、米&その他地域の売上げは34億ドル、欧州が20億ユーロになります。
これがもし、円高でなかったらどうなるでしょう?
任天堂が売上げ・利益共に最も高かった2008年度末の為替レートは、1ドル98円、1ユーロ130円でした。
(2006年度は1ドル120円程度でしたので、これは特別数字の良い時期を当てはめているわけではありません)
仮に2011年度がこの為替レートだったとすると、
米&その他地域が3332億円、欧州が2600億円となります。
これに日本の売上げ1482億円を加えると、合計で7414億円の売上げとなります。
実際の売上額(6476億円)より938億円も増加しました。
純損失(432億円)を加味すると、506億円の黒字です。
つまり、2011年度の為替が円高ではなく、適切と思われるレートだったとすると、
任天堂の2011年度は506億円程度の黒字になっていたということです。
任天堂にしては寂しい数字ではあるものの、赤字にはなっていなかったという結果になりました。
円高の影響は何とも厳しいものだったのですね。
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