3DOは、1993年にアメリカ3DO社が提唱したマルチメディア機の規格名。
ですが、一般的には松下電気産業(現パナソニック)が発売した3DO REALを指します。
日本での発売は1994年3月20日。
1994年は、セガサターン・プレイステーション・PC-FXといった新型ハードが相次いで発売された年ですが、
3DO REALは、その先陣を切って発売されたのです。
3DO社は自社ではハードを製造せず、ライセンスを提供した各社からハードをリリースしてもらい、
ハード&ソフトが売れるたびにロイヤリティを徴収するという珍しいビジネスモデルを採用していました。
それ故に、パナソニック以外にも三洋電機などの複数の会社から異なった機種が発売されたのです。
3DO社を設立したトリップ・ホーキンス氏は、
世界有数のゲーム会社エレクトロニック・アーツの設立者でもあり、
エレクトロニック・アーツが事実上のセカンドパーティとしてソフトを発売することになりました。
また、ロイヤリティを任天堂のスーパーファミコンやセガのメガドライブより安価にすることで、
サードパーティーの充実を図りました。
しかし、3DOは普及には至りませんでした。
その理由は、プロモーションを行った松下はゲームメーカーではなく、
ただ単にハードを製造しただけのメーカーだったからです。
それ故に、ハードの特性をアピールするばかりで、 肝心のソフトの宣伝が疎かだったのです。
松下は家庭用ゲーム市場に参入したのは初めてのことであり、
ゲームハード事業のノウハウを理解できていなかったのです。
また、3DOは松下自身の規格ではないため、
セガサターンやプレイステーションのように、
ハードを赤字で販売し、ソフト売上げやロイヤリティで補填すると言うビジネスモデルが行えませんでした。
実際、3DO REALは54800円という高額で販売されていました。
実はこれでも発売前に値下げを実施しており、当初は79800円で販売する予定だったのです。
ライバル機セガサターンは44800円、プレイステーションは39800円でしたから、
3DO REALの価格は、かなり割高に思えます。
前述の通り、3DOにはエレクトロニック・アーツという強力なセカンドパーティーがいましたが、
日本では海外メーカーの存在感は皆無ですから、ハードの牽引力はさっぱりでした。
それどころか、日本人は洋ゲー(海外産ゲーム)を嫌う傾向にありますから、
洋ゲーばかりの3DO REALは、逆に敬遠されてしまったのです。
アメリカでも販売状況は芳しくなく、3DO社は1995年末には3DO規格に見切りをつけ、
3DOの権利を全て松下に譲渡して、ハード事業から撤退しました。
事業を受け継いで再起を図った松下でしたが、
規格提唱者の撤退という負のイメージによってサードパーティから敬遠されてしまい、
致命的なソフト不足に陥ってしまったのです。
そして、1996年末頃には自然消滅するように撤退したのでした。
実は既に3DOの次世代機3DO M2の開発が進んでいましたが、
3DOの大不振によって、結局3DO M2は日の目を見ることなく消えてしまいました。
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