近年、日本ゲーム業界は衰退の一途を辿っています。
2007年は7000億円を超えていた市場規模も、2011年には5000億円程度まで落ち込んでいます。
世間では、ソーシャルゲームやスマートフォンなどの台頭による影響という意見が多いですが、
実際はそういった外的要因よりも、ゲーム業界自身に衰退する原因があると言えるでしょう。
その理由はいくつもあり、それらが複合して、現在のゲーム業界衰退に繋がっていると考えられます。
それを解説していきましょう。
(実際は世界的にゲーム市場は縮小していますが、ここでは日本市場に限定して話を進めます)
理由の一つは、ゲームソフト開発費の高騰です。
1983年に発売されたファミコンは、わずか52色しか表示できないものでしたが、
近年のXbox360やプレイステーション3では、実写と見紛う程までの表現が可能になりました。
ファミコンが登場してからもうすぐ30年ですが、
その間のゲームハードの進化は、非常に目覚ましいものがあります。
しかし当然ながら、精細な映像にすればする程、ソフト開発にかかる時間や費用は増大します。
ファミコン時代では数百万円程度だったソフト開発費も、
現在では数億円、大作ソフトならば数十億円はかかると言われており、
実に数百倍〜千倍近くまで膨れ上がっているのです。
ところが、開発費が百倍になったとしても、ソフト販売本数が百倍になるはずがありません。
ましてや、販売価格を百倍にするわけにもいきません。
このような状況では、ゲーム会社の経営がどんどん苦しくなるのも当然です。
そうなると、ゲーム会社は失敗ができなくなります。
そのため、売れるかどうかわからない新規タイトルを開発するよりも、
一定の売上げが期待できる過去の人気作の続編ばかりを開発するようになったのです。
しかし、それは目新しさに欠けたマンネリ作が横行するということでもあります。
そのマンネリ具合は、ユーザーに興味を失われることに繋がり、 ゲーム市場の衰退を招いたのでした。
また、膨大な開発費故に、中小ゲーム会社の参入が困難になりました。
結果、ソフトは一部の大手ゲーム会社のものばかりになり、 マンネリ具合はより一層強まったのです。
このマンネリ具合が顕著に表れはじめたのは、プレイステーション2からだと思われます。
以下は、プレイステーションとプレイステーション2のミリオンタイトル一覧です。
(色の付いているものが新規タイトル)
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プレイステーションは新規ヒット作が多く、市場が繁栄していた印象を受けます。
それに比べると、プレイステーション2はシリーズものばかりで、新規ヒット作は無いも同然です。
販売本数も減少傾向にあり、マンネリ故の市場の閉塞感が見て取れます。
プレイステーション2は、ライバル機だったドリームキャスト・ゲームキューブ・Xboxを蹴散らし、
圧倒的なトップハードへ上り詰めました。
しかし、その栄光の影で、ゲーム市場はどんどん縮小していたのです。
また、これは個人的な感想ですが、グラフィックに注力するあまり、
肝心のゲーム部分が疎かになってしまっているゲームが非常に多いという印象を受けます。
グラフィックに膨大な費用がかかるため、それ以外の部分にお金を掛けている余裕がないのでしょう。
ユーザーは、ゲームを遊びたくてソフトを購入しているのであって、
美しいグラフィックを眺めるために買っているわけではありません。
こういったユーザーの気持ちを理解できていないことが、
ゲーム市場をますます縮小させてしまっているのではないでしょうか?
ゲームハードの進化により、昔ではとても実現できなかったゴージャスなゲームが遊べるようになったのは、
ユーザーとして非常に喜ばしいことであります。
しかし、その進化が、逆に市場の衰退を招くようになってしまったというのは皮肉なものです。
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