任天堂の手を離れ、ソニーが独自で開発することになったプレイステーション。
ゲーム業界の王者の助力が得られなくなったことは大きな痛手だったものの、
何にも縛られることなく自由にハードを設計できるようになったことは、ある意味プラスでもありました。
久夛良木氏が目指したのはスーパーゲーム機です。
出来合いの部品の組み合わせでは平凡なゲーム機にしかならないという理念から、
部品は全て自社生産をすることを決定しました。
自社生産は、初期の設備費用が掛かるものの、
量産できるようになれば、大きなコストダウンが期待できるというメリットがあります。
事実、プレイステーションは発売後、ライバルのセガサターンと値下げ合戦を繰り広げることになりますが、
外部会社の部品で構成されているセガサターンは中々コストダウンが進まず、 大きな赤字となってしまったのです。
その点、コストダウンが容易なプレイステーションは、何度も値下げを繰り返し、 大きく普及することに成功したのでした。
そして、プレイステーションの特徴の一つが、ソフトをCD-ROMで提供していたことです。
当時のゲーム市場を制覇していたスーパーファミコンのソフトは、製造費用が高いROMカセットでした。
そのため、1本10000円を超えるソフトも珍しくありませんでした。
これに対し、CD-ROMは製造費用が格段に安く抑えられるため、
プレイステーションソフトは1本5800円程度で販売できたのです。
(参考リンク:歴代ゲームソフト平均価格)
価格の安さは、ユーザーにとって非常に魅力的です。
プレイステーションの普及には、このCD-ROMの恩恵がかなり大きかったと思われます。
しかし、ゲームソフトにCD-ROMを採用したのは、何もプレイステーションが初というわけではありません。
3DOやセガサターンといったライバル機も同じくCDでしたし、
もっと遡れば、1988年に世界初のCDをメディアにしたPCエンジンCD-ROM2が発売されています。
ですから、CDのメリットはプレイステーション特有のものではないと思われるかもしれません。
ですが、ソニーは昔から音楽CDを取り扱ってきた会社です。
それ故に、CD生産の設備や効率化、流通網が確立されていたのです。
これはライバル会社にはない強みでした。
CDのメリットを最大限に活かせたことが、プレイステーションの躍進に繋がったのです。
また、CD-ROMには大容量というメリットもあります。
スーパーファミコンソフトは最大でも48メガビット(6メガバイト)しかありませんでしたが、
CD-ROMの容量は約700メガバイトと、その差は実に100倍以上!
プレイステーションが3Dに特化したゲーム機を実現できたのは、 この大容量あってこそと言えるでしょう。
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